ステンレス鋼の成分識別

ステンレス鋼とは

ステンレスは英語でstainless steelと言い、直訳すればステンレス鋼となり、ベトナムではINOXとして知られています。

stainlessとは「さびない」と言う意味です。

厳密には「さびにくい」という意味も含まれます。

ステンレスは鉄(Fe)を主成分(50%以上)とし、クロム(Cr)を10.5%以上含むさびにくい合金で、他の材料と比較すると使用量が急激に伸びています。

ステンレス鋼の使用量の増加は、その素材の持つ優れた特性による用途が拡大していることと、製造・加工技術の向上によるものと考えられます。

 

 

     

 

ステンレス鋼の種類

ステンレス鋼が錆びにくい特性を発揮できるのは、その表面にクロムを含む酸化膜「不動態被膜」を形成することに起因します。

また、一口にステンレス鋼と言っても、成分の含有比率や処理方法を変えることによって、様々な異なる特性を発揮します。

例えば、ベンカン・ベトナムのステンレス継手など住宅内の給水や給湯などの一般配管用に使われるオーステナイト系のステンレス鋼は、優れた耐食性(錆びにくい)があるのは当然ながら、延性および靭性に富むことから塑性加工に適した材質でもあります。

 

中でも、一般的な、SUS304の成分は、クロム(Cr18-ニッケル(Ni8%を含有しています。

 

 

     

 

種類・成分の識別表示の重要性

現在、ステンレス鋼は耐食性・耐熱性・美観等といった特性を活かし多種多様な分野・用途に使用されています。

しかし、ステンレス鋼だからと言って、どの様な用途にも使用して良いとは限りません。

正に適材適所、それぞれのステンレス鋼の特性に合わせ、適した用途に使用することで、その能力を最大限に発揮することになります。

そのためにも、その種類や成分などの正しい識別表示が必要となります。

ところが、ステンレス協会にて各種ステンレス製品の表示内容について調査した結果、一部の輸入品などの中には、紛らわしい表示ばかりではなく製品によっては、虚偽と思われるような表示もなされている場合もありました。

 

 

     

 

成分識別検査および対策

現在、ベンカン・ベトナムで扱うステンレス鋼は、オーステナイト系のSUS304になります。

材料の受け入れの際は、そのロット毎に成分分析機にて成分識別検査を行い、材料の成分識別表示との照会を行います。

従来の化学分析における成分識別検査では、分析目的間の分離、あるいは分析目的元素と非目的元素の分離が最大の問題でした。

実際に、沈殿、ろ過、摘出、蒸発、蒸留などの前処理操作から分析時間が長くなるだけではなく、技能の熟練を要するために分析精度を低下させる要因となってしまっていたためです。

しかしながら、近年の機器分析法の発展は著しく、現在の発光分析法による成分分析機では、被検体をセッティングから20秒程度で多数の元素を持つ金属を固体のまま分析できる非破壊検査が可能となっています。

 

 

     

 

成分分析後の被検体

ベンカン・ベトナムにおいても、この発光分析法の成分分析機を導入しております。

その原理は、金属に対電極の間でアーク、スパーク放電を行うことで、それぞれの成分の電子から光が放射される特性を利用して、その光を回折格子により分光させて、元素特有の原子スペクトル線を観測します。

そして、この元素特有のスペクトル線を確認することで金属の含有元素の定量値、酸化物表記、元素間比率などを測定するものです。

 

 

     

 

日本向けにも出荷しているベンカン・ベトナムは、このような「成分識別検査」を徹底した管理下で生産を行い、品質をつくり込むことでお客様に信頼いただける製品を供給し続けております。

 

 

     
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